【54】悲しみよこんにちは
悲しみよ さようなら 悲しみよ こんにちは あなたは天井の隙間に書き込まれています あなたは愛する人の瞳の中に書き込まれています しかし、あなたは悲惨さではありません なぜならどんなに貧しい人でも あなたの名前を口にする 微笑みながら言葉にするのですから...
【53】幸せな人と不幸な人
むかし、むかし。中国の北方の塞(とりで)の近くにおじいさんが住んでいました。 ある日、おじいさんの大切に飼っていた馬が逃げ出してしまい、村人はおじいさんのことを気の毒に思っていました。 しかし、おじいさんは「このことが幸運を呼び込むかもしれない…」といいました。...
【52】メッセージ
言葉と言うものは不思議なものですね。 子どもの頃の私は、長い闘病生活と運動の出来ない身体でしたから、本ばかり読んでいました。本の世界は、唯一私が安心していられる空想の場所でした。言葉によって人は傷つきますが、言葉によって救われると今でも信じている者のひとりです。...
【51】不機嫌なわたし
私は、会う人、会う人に、 「元気がないね…」とか、 「調子が悪いのですか…」 「疲れているようですね…」といわれます。 自分ではいつも元気で調子も良いし、疲れてもいません。 ですから、いつも不思議に思っていました。 ある日、スーパーに出向いたとき、可愛らしい女の子がいたので...
【50】35の「いのち」とともに
中国浙江省金華市に、楼小英(ロウ・シャオイン)さんという女性がいました。 楼さんは、道に捨てられているゴミを拾いで生計を立てています。 若くして夫に先立たれ、日々これといった夢や目標があるわけではなく、ただ生きるためにゴミを拾う毎日でした。...
【49】原爆ばあちゃん
そのおばあちゃんは、私の顧問先の喫茶店で毎日コーヒーを飲むのが日課でした。 知り合ってから、もう10年をすぎようとしています。 顔を合わせれば、おばあちゃんは笑顔でいつも同じ話をします。 「私は被爆者なの、広島で生まれて、広島で育ったの。父も母もみな原爆で死んでしまった・・...