【104】「老いを受け入れるな」
歳を重ねると、誰もが自分の身体の異変を感じるときがきますね。 腰が痛くなったとか、身体の節々の関節に痛みを覚える、とか。そうやって誰もが歳を受け入れていきますね。 そして、もう少し若ければもっと動けたのに、と嘆きます。さらに日々の仕事は病院通いとなり、院内では患者同士の病気...


【103】静寂の塔
「ねえ、ねえ、パパ。 どうしてこの国は駄目になったの?」 「そうだね、あれは今から四〇年前、新型コロナウイルスが蔓延し世界中が変貌を遂げてしまった。人々は何が真実で、何が誤りなのかがわからなくなり、何よりも生きる希望を失ってしまったのだよ!」...
【102】Awakening(めざめ)
Awakening(めざめ) 「ねえ、ねえ、おとうさん。 あのときのお話しをもう一度してくれる?」 あのときの話ってなんだっけ? 「わたしが生まれたときのウイルスの話よ、もう一度だけ聞かせてほしいの!」 遠い、遠い昔の、つまらない話だよ! 「でも、聞きたい!」...


【101】忘れられた母たち
母親のアン・ジャーヴィス いまから百年前のこと、五月にこの世を去った母親のアン・ジャーヴィスという女性がいました。その娘のアンナは心から母を尊敬し愛していました。 母のアン・ジャーヴィスは、一一人兄弟の中で生まれ育ちましたが当時のウエストヴァージニア州は医療水準が低く、その...
【100】こころ静かな人々
人は見えないものを信じる人は少ない。見えるものだけが真実で、見えないものの価値が低いこの世界。見えないものって人の思いやりや愛情ですが、それを感じない人も多い。別にそのことを感じないことは悪い事ではないのですが、見えるものよりも見えないものの方に真実が隠れていることを知って...
【99】Monday to Sunday
月曜日の男=Man of Monday 月曜日は一週間のはじまりのとき、日本やアメリカのカレンダーは日曜日から始まるが、生活のリズムとしては仕事始め、月曜日からがはじまりのとき。しかし、日本の男性の自殺は月曜日に集中しているという。...
【98】かなしいねことふたりごと
「かなしいねことふたりごと」 もう、お別れなの? もう、さよならなの? あなたは何を話そうとしているの?最後に何を伝えたいの? あなたの全身は冷たくなり、私はあなたを抱きしめながらあたため続けた。 そんな私を腕の中であなたは私の瞳を見続けている。声を上げるわけではない。身体...


【97】かなしいおうち
かなしいおうち ある山の中に一軒の家がありました。 かなり古い家なのですが辺り一面には野花が咲き誇り、春の訪れと同時に花の園となります。昔は多くの村人たちや旅人がこの咲き誇る花々を見ながら多くの人たちが楽しんでいった場所でした。この古い家はその人たちのためにあるかのように休...
【96】死のうかとおもう
死のうかとおもう 死のうかと おもう その考えが ひょいと のくと じつに もったいない こころが そこのところにすわってた 詩 八木重吉 すべての物事は、「NO(否定)」すると離れていきます。 否定すれば、何もかもが否定となります。...
【95】老年の心得
老年の心得 人生は不思議である。 それは誰もが必ず歳を取り、同じ立場となることだ。 いつのまにか、わたしの人生も最終にさしかかってきた。 今年も相変らず病院通いが続いている。 病院は、喜びと哀しみを背と腹にして生命の尊さが同居する場所でもある。...