【40】人間は二度生まれる
人間は二度生まれる、生命の木
「人間は二度生まれる。
一度はこの世に生を受けて。
もう一度は人間となるために。」
<ルソーの言葉>
「人間は二度誕生しなければならない。
一度は母親によって肉体の誕生を、
もう一度は宗教によって魂の誕生をとげねばならぬ。
この二度の誕生を経て、はじめて本当の人間になるのだ。」
<トルストイの言葉>
毎年、蝉の声が聞こえる頃、体調が悪くなる。
今年の夏もまた厳しい・・。
年の初めに腎臓機能が悪くなり、入院生活から始まった、どうやら、病院通いの多い年になりそうだ。
現在も通院中だが、ネフローゼ症候群というのはなかなか手強い。多少良くなっているとはいえ、日々薬漬けの毎日を送っている。
体調が芳しくないため、もう一度他の病院で検査したところ、バセドウ病だと驚かされた。
数値が高く、すぐに手術かアイソトープ治療が必要だと警告された。症状は重い。
脈拍が常に130ほど。手が震えて文字が書けない。お腹が空く。髪の毛が抜ける。めまいがする。疲れやすく、いくら寝ても眠い。疲れが取れない。自分の力では立ち上がることがむずかしい。バセドウ病特有の症状で、筋力低下だと医師はいう。
(苦しいはずだ…。)
周期的な筋肉の麻痺で頬の周りが痺れて言葉が話しづらくなり、声が出にくくなっていた。
8月10日、17日、18日と連続で集中治療に入ることとなった。
アイソトープ治療は甲状腺に放射能を当てるので、一時的に被爆状態となる。
そのため5日間は他人に近づいてはならない。食べ物はヨード等を含む食品すべてが禁止された。
(実に、困ったものだ。)
もちろんトイレや風呂も制限される。
もともとネフローゼ症候群で食事制限をされているのに、さらなる食事制限となった。
今までは塩分を一日6グラム、1000キロカロリーという食事制限。和食中心の減塩醤油で塩分控えめの食生活だったが、和食の出汁にはヨードが入っているから、食べるものが無くなってしまうほど。アクエリアスなども海藻エキスが入っているため禁止だという。
饅頭など寒天が入っているものはすべてダメ。味噌汁、そば、うどんもダメ。
やむを得ず、ハンバーグなどの肉食でしばらく過ごした。
一日も早く元に戻れれば、という祈りにも似た日々。
しかし、やはりカロリーオーバーになる・・。
一番困ることは、手指の震え。文字を書いたりパソコンを打つことが出来ず、今年は本もまとめることができない。初めて一冊も世に出せない年となった。
私は病気になるたび一度死に、元気になって生まれ変わり、死んでは生まれ変わるという人生を繰り返しているのだと思う。
もう7回大病をしているので、7回目の新しい人生を送り直していることになる。
元気な人ほど我儘な人が多い。
元気な人ほど動けることの感謝が少ない。
元気な人ほど他人のことが気になる。
元気な人ほど二度、三度と人生が欲しいと願う。
病は人生のやり直し、生き直し、生まれ変わりのメッセージといえる。
元気で病気のない人は、その生まれ変わりの体験がないのだ。
つまり、生きていて良かった、生かされて良かった、という意識に欠けてしまうのだ。
だからこそ、「病のあるものは幸いなり」「多病息災」という言葉があるのだ。
人生がもう一度あれば…そう願う人は多い。
もし人生が二度あったなら、もう三度あれば、もう四度、五度あったなら…と、さらに人は願い続けるのだろうか?
人生は一度だから楽しい。
一度きりの中で、二度も三度も生まれ変わる事ができるのが、人生なのだ。
やはり、人生には感謝しかない・・。
生き方には二つあるらしい・・・。
©Social YES Research Institute / CouCou