【34】わたしの宝物
「もし、今日が、
人生最後の日だとしたら、
あなたは何をしますか?」
人生には三つの大きな節目があります。一つは生まれたとき、二つ目は生きること、生き続けること。三つ目は人生の最期を迎えるときです。
欧米では、結婚したときから遺言を書き始めるといいます。命を懸けて守るものができたということで、毎年誕生日のたびに書き換えていくのだそうです。
遺書 (遺言状)というと、とても暗い言葉です。遺書というのは死を前提として考えるためか、夢や希望を感じられないのは私だけでしょうか。遺書と思うと、書くのが嫌になってしまいます。でも、家族や愛する人へ感謝の言葉を伝えるものだと考えると、自然に感謝の気持ちが湧き「ありがとうの書」に変わります。
ある日、年配の女性から手紙が来ました。「もし、今日が人生最後の日だとしたら、わたしは手紙を書きます。感謝の言葉を伝えます…」と。
〈 わたしの宝物 〉
どこから見ても、いつ見ても、
かわいくて、かわいくて、かわいくて。
いつも笑顔で、いつも笑わせてくれて。
どこかに出かけるだび、愛らしい一言を書いたり、
それをテーブルや机の隅にそっとおいてくれて、
わたしに幸せを与え続けてくれるあなたたち。
わたしを悲しませ、苦しむことを決して言わないで。
ほんとうは、あなたの方が悲しかったはずなのに。
ほんとうは、あなたの方が淋しかったはずなのに。
ほんとうは、あなたの方が苦しかったはずなのに。
泣き出したいこともたくさんあったでしょう。
でもね。幼い頃のあなたたちは、いつもわたしを守ってくれていました。
ほんとうはわたしがあなたたちを守ってあげなければいけないのに、
あなたたちに見守り続けてもらいました。
ありがとう。ほんとうに、幸せでした。
心の優しいあなたたちはわたしの夢。
心の温かいあなたたちはわたしの希望。
わたしの心からの誇りです。
わたしの幸せは、あなたたちを見つめて生きること。
ほんとうに、ほんとうに幸せでした。
あなたたちの笑顔で、どれだけわたしが救われて、どれだけ支え続けられたことでしょう。
あなたたちのおかげで、わたしは今まで幸せに生きることができました。
人に言えないこと。
悲しいこと。
苦しいことがたくさんありました。
でも、あなたたちのかわいい、かわいい笑顔ですべてを乗り越えることができました。
あなたたちのおかげです。
ありがとう。
ありがとね。
ほんとうにありがとう、感謝でいっぱいです。
天国に召される前に、どうしてもこのことだけ伝えておきたかった。
かわいい、わかいい、素敵なこどもたちへ。
母より
追伸、わたしのこどもたちへ
誰もいない公園であなたと二人。無邪気に遊ぶあなたの笑顔。わたしはとても寂しく悲しく、これからあなたとどうやって生きていったらいいのでしょう?もしわたしが死んだら、あなたはどうやって生きていくのでしょう…。そんなことを想い、考えながら、あなたの楽しそうな笑顔を見つめていました。もうあなたは覚えていないでしょう。その時、あなたはわたしに向かって走りより、「ママ泣いてちゃダメ。めっ…」と、あなたの笑顔が消えてしまったことを覚えています。
わたしは精一杯に笑顔をつくりました。するとあなたは笑顔を返ししてくれましたね。その笑顔はいまでも、そして生涯忘れられないわたしの宝物です。
わたしは、あなたのその笑顔に救われ生きてきました。そしてあなたのその笑顔を想い、幸せを想い、感謝とともに天国に行きます。ありがとう…わたしの宝物。
©Social YES Research Institute / CouCou